40代の男性プログラマーが5ヶ月の育休を取った

次子のために5ヶ月の育休をとった記録です*1

家族構成は、外資系*2勤務フルタイムワーカーの私、同じく外資系勤務フルタイムワーカーの妻、長子のmfx氏(2017年9月生まれ)、そして次子のrfx氏(2022年6月生まれ)という四人家族です。

私が育児休業をとったのはrfx氏の育児のためです。妻がはrfxの誕生の1ヶ月前から産休に入り、11月いっぱいまで育休をとりました。私は妻と入れ替わるように11月下旬から翌年の4月下旬まで育休をとったため、約5ヶ月間育児休業を取得することになりました。つまり、rfx氏が保育園に入園して慣らし保育が終わるまでの期間を、私たち夫婦で分担して育休をとり、育児に集中することにしたのです。

長子のmfx氏が生まれたときは、私は育休を取得しませんでした。当時は人数が一桁台のスタートアップ企業に勤めていましたが、育休は取ろうと思えば取れたはずです。しかしなんとなく「今、休むわけにはいかない」と感じて育休は取らなかったのでした。しかし、せめて新生児期の1ヶ月くらいは育休を取得すればよかったと後悔しています。育休をとらなかったことだけが原因ではないものの、このときは妻の産後のダメージがなかなか回復せず、家族として苦しい時間が長引いてしまったという思いがあります。

さて、社会人として長年働いてきた私にとって、こんなにも長い休暇を取得するのは、新婚旅行で3週間休んだとき以来です。この育休期間中、赤子の世話に追われましたが、まだハイハイもできないくらいの段階でした。その中で、育児と家事だけをして過ごす「専業主夫」の経験は貴重ではありました。

育休を取得して良かったと感じる点も多いです。家事もしながら赤子の世話をする日々は思った以上に忙しく、フルタイムで働くときと比べても余暇が余計にあるとは言えませんでした。それでも、このときはmfx氏が鳥に興味を持っていたこともあり、平日昼間に子供達をつれて近場の公園でバードウォッチングに出かけたりと、思い出深い経験を重ねることができました。また、この時期にザッハトルテなどちょっと凝ったお菓子を作ったり*3、mfx氏といっしょに生地をこねるところから始めてピザまんを作ったり、普段だったらなかなかできないことに挑戦したりもしました。

しかし、育休取得にはデメリットもあります。妻が産休に入ってから私の育休が終わるまでの11ヶ月ものあいだ、我が家の収入は激減しました。育休給付金は限度額が月30万円です。この額が私たちの手取りとして入ってきましたが、これは本来の手取りと比べると少ないのです。我が家は私も妻も給与に大きな差がないので、「育休を夫婦で分割して取ったこと」それ自体によるマイナスはほとんどありません。しかし、数ヶ月ものあいだ収入が減るのは、家庭によっては許容できないでしょう。

さらに育休によって昇給しにくくなるというデメリットもあると思います。育休が明けてからも、後述するように仕事に集中しにくい日々が続くので、ことによると丸1-2年分の昇給が消えるかもしれません。これは長い目で見ると育休による直接的な収入の減少よりも大きな影響です。これは突き詰めると「子供を1人持つたびに生涯収入が大きく減る」ということになってしまうのですが…。収入や昇給機会の減少は事前にわかっていたことではありますが、実際に起きると苦しいものです*4

とはいえ、「保育園までのあいだ、育休を取らずになんとか過ごす」という選択肢は、通常は考えにくいでしょう。そうであるならば、妻一人が育休をとってキャリアへの悪影響を負うよりも、そのリスクを妻と夫で分散したほうが、家庭というチームとしてはベターであるはずです。我が家としては、このリスク分散はよい形で働いたと思います。

なお育休後、rfx氏を保育園に預ける日々が始まりましたが、頻繁に風邪をひいては休園せざるを得ない状況が続いています。というより、この9月までのあいだほとんど常に微熱を含むいくつかの風邪の症状があり、何の風邪の症状もない日は月に1-2日くらいしかありません。こういう状況だと赤子を家で看病せざるをえず、仕事に集中はできません。これは今まさに私の自己肯定感の低下を引き起こしています。

こう書くとデメリットが非常に大きいようにも見えるかもしれませんが、それはやはりまだ生まれて1年と少ししか経っていないから、とは言えると思います。mfx氏を育てた経験から考えると、子育てが劇的に楽しくなったのは、3歳くらいからでした。このくらいの時期からできることや語彙が爆発的に増え、認知的にも大きく成長して、一緒に遊ぶのがとても楽しくなったからです。親と異なる趣味嗜好を発揮して、親もそれを楽しむ、ということをしはじめたのも3歳くらいでした*5。rfx氏(現在15ヶ月)はまだ発話もないくらいの赤子なので、はやく成長しないかなあと思っています*6

*1:4ヶ月の育休をとる - Islands in the byte stream 当初は4ヶ月のつもりでしたが、そのあと慣らし保育中も育休をとることにしたので5ヶ月になりました。

*2:Fastly K.K.

*3:もともとスイーツを作るのが趣味なのです。

*4:ところで、我々夫婦は二人とも外資勤務で通常の給与以外に株式報酬(RSU)がありますが、妻が育休の時は株式報酬も止まり、私の育休のときは株式報酬はもらえました。この辺は企業のポリシーによって違うようです。

*5:具体的には恐竜に大ハマりしました。夫婦ともに古生物にそこまで興味はなかったのが、最終的に古生物の本を読んだり福井の恐竜博物館に旅行したりするようになり、このmfx氏の趣味を家族みんなで一緒に楽しみました。

*6:赤ちゃんのときの可愛さはそれはそれで唯一無二ではありますが、「人間的な交流」はできませんから…。