- 『Androidを支える技術 I』 ~ 60fpsを達成するモダンなGUIシステム ~
- 『Androidを支える技術 II』 ~ 真のマルチタスクに挑んだモバイルOSの心臓部 ~
これらを著者の有野さん よりご恵贈いただきました。ありがとうございます。
始めて知る内容も多かったのですが、既に知っていることでも著者の意見が反映されているのを読むと、いくつものモバイルOSを見てきたハッカーからみるとこう見えるのか!という新鮮な面白さがありました。
IとIIのテーマは独立しているので、どちらから読んでもいいと思います。
以下個人的に面白かった章をピックアップします。
I の見どころ
- §1: ActivityThread.java にあるAndroidアプリのエントリポイント
public static void main(String[] args)
の役割- ActivityTheadはデバッグしてるとたまに見ることはあるものの全然役割を知らず、それどころかここに
main()
があるのすら知りませんでした
- ActivityTheadはデバッグしてるとたまに見ることはあるものの全然役割を知らず、それどころかここに
- §3: Thread, Handler, Looperあたりの話
- HandlerとLooperまわりは難解で、なんとなく表面的に知っているだけにとどまっていました。そのあたりを詳しく解説しているのは大変ありがたい…
- §7: バイトコード実行系の話
- Android 7.0でARTからVM + on-demand compileに戻ったのは初めて知った!たしかにART時代のAOT compileの遅さは気になっていたので、AOSPチームのその判断自体は納得できます
IIの見どころ
- §3: OOM Killerとの戦いは涙なしには読めませんね…
- §4: IIで一番驚いたはなんといってもinstance stateの保存(Bundle)に関して、「BundleがSystemServerのメモリ上に保持されている」という点です。そんな事がありえるのかと思うのですが、調べたかぎりだとそうとしか思えないとのこと
- 本作はコラムが本体かってくらいの力作で、特にモバイルOSの歴史編(勝手に命名)はAndroid, iOS以前のモバイルOSの歴史を全然知らない私にとっては黎明期の壮大な物語です。こういうのが読みたかった。
なお『Androidを支える技術』レビュアーでありGoogleエンジニアでもあるomoさんのエッセイもすばらしいです。